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KAIT-CRONOSは、神奈川工科大学(KAIT)の超広帯域ネットワーク研究センターの丸山充特命教授が主導する研究プロジェクトです。このプロジェクトは[JST CRONOS]委託研究の「広帯域インラインコンピューティングの実現(JPMJCS24N9)」の中で、SRv6とDPDKを使用したインラインネットワークコンピューティングで8K+メディアストリームの高速・低遅延処理を可能にするソフトウェアベースプラットフォームを構築しています。
2025年度は、小原泰弘客員研究員が主導して、SRv6ソフトウェアルータの開発を進めており、基盤技術としてDPDKを活用しています。DPDKは、CPUのコアリソースやNICをOSから切り離し、ユーザ空間から直接処理することで高速化を図ることができますが、動作中は内部状況が把握しにくく、プログラム開発には専門性が必要でした。そこで我々は、DPDKのスレッドの動作を対話型に制御可能なShellとDPDKスレッド実行環境(sdplane)から構成される「DPDK-dock 開発環境」を新たに設計・構築し、2025年9月8日にOSSとして公開したところです。
このたび、我々のプラットフォームの中核機能であるルータ部として、セグメントルーティングのIPv6ベース実装であるSRv6に対応したソフトウェアルータを開発し、カスタマイズ可能なオープンソースソフトウェアとして公開します。公開するSRv6ソフトウェアルータは、OSS公開済みのDPDKスレッド実行環境「sdplane」上で動作するアプリケーションとして実装されています。100Gbps級のIPv4およびIPv6のパケットフォワーディング機能に加え、Linuxのnetlinkインタフェースを実装しており、Linuxの経路情報に基づくフォワーディングが可能です。これにより、各種動的ルーティングソフトウェアとの連携にも対応します。さらに、SRv6の基本機能をサポートしているため、サービスファンクションチェイニングやトラヒックエンジニアリングなど、次世代ネットワーク制御技術への応用が可能です。
本研究プロジェクトでは、インラインネットワークコンピューティングを活用してネットワークと計算リソースをシームレスに統合し、自律的な機能連携を促進するアーキテクチャフレームワークを提案しています。このアプローチにより、ネットワークと計算リソース間のリアルタイム連携が可能となり、高速・低遅延処理を実現します。さらに、ネットワーク状態をアプリケーションやユーザ端末側と共有するシステムを導入し、より合理化された適応的なネットワーク運用を促進します。
- IETF SRv6 End.ANを使用した標準化の促進、障害時の処理継続を確保する動的リソース割り当てを支援するコントロールプレーンの標準化を含む。
- DPDKを使用した高速SRv6ソフトウェアルータの実現。
- DPDKを使用したソフトウェアルーター部分とCPU処理の融合、データ転送の最適化により、1Tbpsの超高速性能と1μs未満の低遅延を実現。
- 広域テストベッドでの様々なアプリケーション実証実験により早期社会実装を促進し、プラットフォームをOSSとして提供。
- リポジトリ: sdplane-oss
- 高性能パケット処理: DPDKを活用したゼロコピー、ユーザ空間パケット処理
- レイヤー2/3フォワーディング: LPM、FIBサポートを統合したL2・L3フォワーディング、SRv6 End機能
- パケット生成: テストとベンチマーク用の内蔵パケットジェネレーター
- ネットワーク仮想化: TAPインターフェースサポートとVLANスイッチング機能
- CLI管理: 設定と監視のためのインタラクティブコマンドラインインターフェース
- マルチスレッド: コア別ワーカーによる協調スレッドモデル
研究代表者: 丸山充特命教授
共同研究者: 小原泰弘客員研究員、瀬林克啓特任教授
所属機関: 超広帯域ネットワーク研究センター, 神奈川工科大学(KAIT)
連絡先: sdplane [at] nwlab.org